ポイントが5つあります。
1:乳児アトピー性皮膚炎は放っておいても1歳には患者の8割はよくなります。特に顔の湿疹は1歳には殆ど無くなります。
2:症状のピークは生後3〜5ヶ月です。あとは1歳までに少しずつ良くなります。
3:季節で言うと6〜9月の夏期には軽くなり、11〜3月の冬期には悪化します。
4:食物アレルギー(フードアレルギー)の検査上のピークは1歳ころにあります。だから、離乳食はできるだけ遅らせましょう。
特に卵・牛乳(乳製品)は少なくとも1歳までは食べさせないようにしましょう。
5:乳児期のアトピー性皮膚炎では、男児が女児より1.5倍患者数が多く、症状も重いです。また、第一子より第二子の方が重症になる傾向があります。
以上のような1歳までの自然経過について知っておくのはとても大切なことです。
乳児期に湿疹があったとしても1歳になれば殆ど良くなりますので、慌てずゆったりと構えましょう。
乳児期アトピーの治療
乳児期アトピーの治療では、栄養が最も大切です。この時期では食物アレルギー(フードアレルギー)の占める割合が最も大きいからです。
母乳かミルクか。
母乳の場合のお母さんの食事はどうか、お母さんに食物日誌を書いてもらい、原因食物を絞り込むと同時に子どもさんのアレルギー検査を行い、アレルギー素因を分析し、今後の離乳食の進め方、環境要因の影響を見ていく参考にします。
ミルクの場合は、アレルギー検査を見てミルクを変更したりします。アレルギー用ミルクもいろいろありますので、最適のものを選びます。
スキンケアも重要で、衣類の素材・洗剤・石けん・シャンプーなど適切なものを選ぶよう具体的に指導します。
また、肌にあった保湿剤を選んで皮膚のバリア機能の修復を図ります。
離乳食の開始時期・進め方など細かく患者さんごとに指導します。
一般に、母親の社会復帰に焦点を置いた早過ぎる離乳食の開始が大きな問題です。
いずれにしろこの時期のアレルギーの取り組みが、子どものアレルギー人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。
ステロイド外用薬による対症療法に終始することなく、どうすれば乳児湿疹が出なくなるかを一緒に学んでいきましょう。
以上より、乳児アトピー性皮膚炎を見た場合、男の子か女の子か、現在生後何ヶ月で、何月生まれでこれからの季節は夏になるのか冬になるのかを考えれば、今後どのような経過をたどるかがだいたい分かると思います。
たとえば4ヶ月の時に顔の湿疹がひどいとしても、1歳になると殆ど目立たなくなるので、そんなに心配しなくても良いのです。
特にこれから夏になる場合は、ステロイドを塗る必要もないことがわかります。
医者に診てもらってどんどん悪くなって、民間療法で治ったと言う患者さんもいますが、このような自然経過でよくなっている可能性があるのではないかと考えられます。