全てのアレルギー疾患の治療の基本となります。
なぜなら、食べ物が私たちの身体を作っているのですから。
アレルギーのイメージ
カニを食べて蕁麻疹が出たり、杉の花粉が飛ぶ3月に目がかゆくなって鼻水やくしゃみが止まらなくなれば、アレルギーだとすぐわかります。
このような症状は、即時型(あるいはI型)アレルギーといわれ、IgE抗体が関与しているので血液検査で診断することができます。
しかし、青白い顔や目の下の隈がアレルギーによって起こっているかもしれないと考える人は、ほとんどないでしょう。
また、疲れやすかったり、あるいは気分が良くない時にアレルギーを頭に浮かべたり、頭が痛いとか足が痛いとか胃が痛いとかいう場合にアレルギーかもしれないと考えたりしないでしょう。
このような症状が続けば、医師に診せて詳しい検査を受ける必要があります。貧血や、感染症、甲状腺機能低下があるかもしれません。
しかし、検査で何も異常がなければ、症状はアレルギーによって起こっている可能性があります。
アレルギーは氷山にたとえられます。(図1)
喘息や花粉症やアトピー性皮膚炎は、氷山の海面の上に突き出た部分に相当します。
これらの疾患はアレルギーが原因だと容易にわかります。
しかし、水面下に没して見えない、あまり目立たない身体的症状も実はアレルギーによって起こるのですが、本人(あるいは親)もアレルギーの原因を見逃し、このタイプのアレルギーになじみのない医師によって適切な診断をくだされず、対症療法に終始している場合が多いのです。
このようなアレルギーは、覆面型あるいは遅延型アレルギーといわれIgEも低く、一般に行われている血液検査では診断できないことが多いのです。
当クリニックではIgGやIgAが関与する遅延型アレルギーを重視して、希望者に検査を行っています(自費)。その結果、本人も気付かない意外な食物が原因とわかることも少なくありません。
アレルギーの原因
アレルギーの原因を知りたいと誰もが思うのですが、大抵の場合、特定できずに医師も患者もすぐにあきらめてしまいます。
そして、ストレスが原因かもしれないと安易に逃げてしまいます。
あまり細かいことにとらわれず、まず風呂おけモデル(図2)のように考えると分かりやすいでしょう。
浴槽の大きさは、自分の体質を意味しています。それゆえ、人それぞれ大きさが違います。風呂おけの大きい人はアレルギーになりにくいし、小さい人はすぐに溢れてアレルギー症状が出てきます。
自分で処理できる以上に水が入り続ければ、いつかは溢れてしまいます。
患者さんは、今まで何ともなかったのにと考えがちです。今まで使って何ともなかった化粧品だから、とか、今まで何でも食べて大丈夫だったから、とか言います。今まで何ともなかったのは、徐々にたまっていただけなのです。
一度溢れ始めると、もう止まりません。蛇口を閉めるしかないのです。
アレルギーは一度スイッチが入ると、反応はどんどん強くなるという性質があるからです。
アレルギーを起こす原因は大きく分けて8つあります。
そのどれもが重要です。ただし、患者さんごとに重要度(関与度)が違いますので、一番重要な原因を見つけ出すことは作戦上重要なのは言うまでもありません。
今回は食物の蛇口についてスポットライトをあてることにします。
アレルギーの症状
浴槽から湯が溢れると、アレルギー症状があらわれます。
そして症状は、その人の最も弱いところに出てきます。
皮膚が弱い人はアトピー性皮膚炎や蕁麻疹になりますし、鼻が弱い人はアレルギー性鼻炎や花粉症、肺・気管支が弱い人は喘息になります。
ありとあらゆる症状がアレルギーが原因で起こりうると言っても過言ではありません。
アレルギーにあまり注意を払わない医者は、食物アレルギー(フードアレルギー)に関しては、まったく考慮しないことがほとんどです。
アトピー性皮膚炎でも乳児期には、食物アレルギー(フードアレルギー)(卵や牛乳)の関与を認める医者も少なくないのですが、そんな医者でも学童期以降では食物は関係ないと考えています。
しかし実際は、チョコレート、チーズ、コーヒー、もち、ヨーグルト、納豆、ピーナッツ、ポテトチップス、インスタントラーメン、豆乳、牛乳、パン、砂糖、イースト、アルコールなどによってアトピー性皮膚炎が悪化している場合がかなり多いのです。これらの食品を控えるとかなり改善します。
なかには治ってしまう人もいます。
アレルギー性鼻炎や花粉症で耳鼻科にかかると、ダニやハウスダスト、スギ、カモガヤなどの吸入抗原が原因といわれます。
しかし、牛乳および乳製品を取りすぎている患者が多く、これらを全くやめると花粉症が治ってしまうことが少なくありません。
見逃されやすい食物アレルギー(フードアレルギー)
前述のように、アレルギーによって全身に様々な症状が出ます。
以下に示すような症状が慢性的に続いていて検査で異常がない場合には、アレルギー症状かもしれません。
原因となる可能性の高いもの(特に食品)を挙げておきます。
たくさん食べているものがあれば、やめてみてください。
- 腹部症状:便秘
- 牛乳、乳製品、イースト、小麦
- 腹部症状:下痢
- 牛乳、小麦、砂糖、イースト、コーン
- 全身倦怠
- 牛乳、イースト(パン)、小麦、米、コーン、ピーナッツ、砂糖、じゃがいも
[カビ、ハウスダスト、花粉]
- 頭痛
- 牛乳(チーズ)、チョコレート、コーヒー、卵、小麦、米、イースト、赤ワイン
[カビ、ハウスダスト、花粉]
- 関節痛
- 牛肉、豚肉、小麦、トマト、じゃがいも、コーヒー、紅茶
[タバコ、天然ガス、化学物質、カビ]
- 鼻・咳・喘息・のど
- 牛乳、チーズ、ヨーグルト、小麦、コーン、カビ、ハウスダスト、花粉
- うつ《季節性》
- 花粉、カビ、ハウスダスト
食物アレルギー(フードアレルギー)の見つけ方
食物アレルギー(フードアレルギー)は次の4点に注目すると発見しやすいです。
嗜好・・・大好きなものです。
嫌いなものは、身体に合わなくて無意識に避ける傾向があります。
頻度・・・週に3回以上たべています。
量・・・たくさん食べているものです。
期間・・・長期間(少なくとも1ヶ月以上)、多くの場合半年以上食べ続けています。
そして、体調が悪くなった時期と摂取量が多くなった時期と重なってきます。
本人の最も執着の強い食物が、最もアレルギーの可能性が高いといえます。
やめろと言われてもやめようとしない、あるいは怒り出すような患者さんの場合は、その食物がアレルゲンと考えていいと思います。時間的に言うと72時間食べないで我慢できるかどうかみてください。
我慢できないようなら、それが食物アレルギー(フードアレルギー)の原因といえます。
牛乳は嫌いだけど、チーズやヨーグルトやアイスは大好きという場合、牛乳アレルギーの可能性が大です。
過去に、たとえば乳児期に卵アレルギーがあった人は、大人になっても卵を定期的に大量摂取することは厳に慎まなければいけません。