アレルギー症状の起こり方
アレルギー反応の進行には、いくつかのタイプがあります。
これを理解するとアレルギー症状の出現する時間的な流れが分かり、アレルギーの原因を見つける手がかりになります。
即時型・遅発型
カニを食べてじんましんが出たり、そばを食べてショックになったり、杉の花粉の飛ぶ3月に目が痒くて鼻水が止まらなくなれば、アレルギーだとすぐにわかります。
このように原因となるアレルゲン(抗原)を食べた(触った、吸い込んだ、注射した)あと30分以内に症状が現れ、数時間で終わってしまう反応は即時型(はっきり型)アレルギーといわれます。
IgE抗体や好塩基球が関与しているので、血液検査や皮膚試験(スクラッチテスト・皮内テスト)で診断できます。
即時型に続いて数時間後に始まる遅発型アレルギーには、血液中の好酸球が関与しています。
遅延型
遅延型(かくれ型・覆面型)アレルギーは、食べた後数時間から数日経ってから症状が出始め、1週間ぐらい続くタイプの反応のため、なかなか原因を見つけることは困難です。
また、毎日食べる食物が原因となっているため、余計に発見が難しくなっています。
ツベルクリン反応やうるしカブレもこのタイプです。
即時型や遅延型が単独で起こる場合もありますが、同時に起こることもあります。
後者の場合には、アレルギー症状は二つの山を作ります。
この流れをよく理解して、診断や治療に生かして欲しいものです。
アレルギー検査
即時型アレルギーについて
1:血液検査
IgE RAST検査と呼ばれます。
花粉(草・樹木)、カビ、食物(魚・肉・卵・牛乳・野菜・果物・穀物)、動物、昆虫、化学物質など原因を疑われるアレルゲンについて調べます。
2:プリックテスト・スクラッチテスト・皮内テスト
各種アレルゲンエキスを用いて行います。
実際の食べ物や薬剤を用いる場合もあります。
プリックテスト、スクラッチテストは実際に皮膚に小さな傷をつけてアレルゲンを少量たらして行います。
3:誘発テスト
食物・薬剤を用いて行います。
少量を摂取したり、服薬して反応をみるものです。
4:DLST(リンパ球幼若化テスト)
薬剤アレルギーについて、採血したリンパ球とアレルゲンを混合して反応を見るものです(自費)。
遅延型アレルギーについて
1:パッチテスト
- 金属パッチテスト
- ニッケル・パラジウム・コバルト・クロム・水銀・亜鉛・スズ・プラチナ・金・インジウム・イリジウム・鉄・銅など
アクセサリー(ピアス・ネックレス)、時計の金属、歯科金属などによる金属アレルギーが疑われる患者さんに対して行います。 - 日本皮膚科学会スタンダードアレルゲン
- 防腐剤などアレルギーを起こしやすい物質について行います。
- 化粧品パッチテスト
- 顔面・頭部・手の湿疹でアレルギーが疑われる化粧品・整髪料・シャンプー・リンスなど、実際に使っているものを持ってきていただいて検査します。
- パッチテストの実際
- 背中(あるいは上腕内側)の皮膚を用いて行います。
背中(あるいは上腕内側)に問題となるアレルゲンを48時間貼り付けて、48時間後と72時間後の2回判定します。
2:遅延型フードアレルギー検査(96種)(自費)
96種類の食物アレルギー(フードアレルギー)に関して、IgG抗体および/あるいはIgA抗体の有無を検査します。
患者さんによっては、IgGだけ強く反応する場合やIgAだけ強く反応する場合もあります。
また、アレルゲンによってはどちらか一方で出やすいこともあります。たとえばコーヒーはIgAアレルギーを示しやすい。
検査結果を元に食事指導を行います。
3:食物日誌
食物日誌をつけてもらって分析して、食物アレルギー(フードアレルギー)をみつけます。
食物日誌を付けてみると意外と偏って食べていることに患者さん自身が気づく場合も多く、役立ちます。