シックハウス症候群の患者さんの家を多数手がけられた建築家にお願いしました。建材など一つひとつ吟味し、大丈夫であることを確認して選びました。
化学物質を使わない建材を、化学物質を避ける状態で運び、化学物質を持ち込まないように配慮しながら作りました。
クリニックの特徴
化学物質過敏症やアレルギー疾患の患者さんを考慮し、当クリニックの内装は、天然ムク材、漆喰、金属等を用いて化学物質の放出を可能な限り抑えています。
こういう建築(内装)にすれば都会のビルの中でも健康に暮せるという実践例を示せるのではないかと考えて作りました。
シックハウス対策の実例として、患者さんの参考にしてもらえればと思います。
建材
木材は国内産で、乾燥、製材の途中で化学物質を一切使用していません。
ノコギリの刃、乾燥の釜なども他の木材のにおいが混じらないように専用のものを使用しました。天日乾燥も他の木材とは隔離して行いました。
輸送は、途中での汚染を避けるため、無添加ラップにて厳重にラップして行いました。
*基礎材
秋田杉(あらかじめ幾つかの産地の杉をサンプルとして、反応の少ないものを選びました。)
*天井
ガルバリウム(亜鉛とアルミの合金) 建築基準法でテナントビル内の天井には木製のものが使えないため。
*床・腰板・柱・建具
いたやかえで
扉も接着剤を使用せず、ワイヤーで締めてあります(来院の際には扉の四隅の四角の金属に注目してみてください)
*玄関、待合室
杉の丸太
*家具(机・テーブル・収納家具・ベッド・下駄箱)
神奈川県のWOOD LANDER(http://www.woodlander.jp/ http://woodlander.tumblr.com)により国産の木材(いたやかえで・楢)を使用して作成してもらいました。これにも接着剤は一切使用していません。組木など職人技で作ってあります。金具も独自に開発されたものを使用してあります。輸送も厳重に無添加ラップして行いました。
*椅子・ベンチ
アルミニウム製・木製(いたやかえで・杉)
*壁
砂(いろいろな産地のものから反応の少なかったものを選んでいる)・しっくい・麻・のり(食用)
中塗りまでスサを入れたが、上塗りには入れていません。
上塗りは表面に凸凹を残し、光の強い反射を抑えてあります(CS患者やES患者は平滑な壁に光が反射すると大きな負荷となります)。
*釘
ステンレス製で、使用前に製造過程で付着した油を石けん水で洗浄して落としたものを使用。
*流し
ステンレス製、排水パイプもステンレス
*洗面台
人工大理石
*配水管・水栓類
ステンレス製、抗菌加工していないものを使用
*トイレ
天井はガルバリウム使用。ゼオライト・活性炭を置き、空気の浄化に努めています。
*エレベーターホール
天然リノリウム使用
玄関ホールは二重扉にして汚染空気がクリニックの中に入りにくいように工夫しています。
照明
裸電球(白熱灯)を使用(CS患者は蛍光灯に反応することがあるため)
ふとん
オーガニックコットン(パナコ製 http://www.panoco.jp)など、身体にやさしい素材のものを使用しています。
空気清浄機
患者さんに体験してもらう目的もあり複数使用しています。
換気
各部屋に排気・吸気用の換気扇を設置しています。
施工時
改装工事中は、現場に入る職人さんたち(大工・左官)にはポマードなどの整髪剤は使わず、当然禁煙で、化学物質を持ち込まないように徹底してもらいました。
作業にかかっている間は合成洗剤は使用しないで、衣類は選択用石けんで洗濯し、入浴・洗髪も石けんを使ってもらいました。
作業前には必ず石けんで手洗いをしてもらいました。
左官は、理解のある職人さんに千葉県から来てもらい作業してもらいました。